エンド・オブ・ザ・ワールド2014
太陽系の果てから、終末の危機はやって来た。地球に押し寄せる宇宙電磁波。地表に降り注ぐ、隕石状の“エネルギー・ボール”。それに触れた物質は一瞬で消滅、あらゆる電子機器は使用不能となり、世界は大パニックに陥る。地球消滅のタイムリミットが迫る中、ビデオ店のオーナーでSFオタクのオーウェンたちは、人類を救う計画を実行しようとするが…。隕石状の物体による地球滅亡の危機を描く、驚異のSFパニック!
メジャータイトルに勝手に数字や文字を付け足して、まるで続編か何かのように装う。
Z級映画タイトルのあるあるですね。
この作品もそう。「エンド・オブ・ザ・ワールド」とは何ら関係のない作品です。
シネテルフィルムズだけあって強烈な破壊力を持つ作品でしたよ……。
- 解説されても全く意味の分からない「エネルギー・ボール」による被害
- なんでもSFパニック映画のネタで解決しようとする主人公のオタクっぷり
- 病院でのかくれんぼ
- 客観的には狂人としか思えない、全てを解決する切り札となる人物
- そのあっけない死に様
以前にレビューした「グランド・クロス ジャッジメント・デイ」や「新トレマーズ -モンゴリアン・デス・ワームの巣窟-」と同じスティーブン・R・モンロー監督の作品です。
それだけでどんな作品なのかお分かりいただけるかと思います。
ディザスター・パニック映画って災害のシーンだけでなく、その災害がどういう原因で起こっているのか、そしてどのような解決方法があるのか、それが描かれていると思うのです。
ところが、この作品にはそれがほとんど無いのです。
いえ、無いわけではないのですが、全く意味がわかりません。
「あの磁気バブルは、太陽系を包むバリアの外縁部で形成された。それが宇宙からの波で地球に打ち寄せる。その影響で太陽系のバリアは内側に崩壊、地球にもその波が襲ってくる」
何を言っているのかさっぱりわかりません……。
太陽系のバリアって何ですか???宇宙からの波って何ですか???
どなかた宇宙エネルギーに詳しい方は教えていただけませんか…。
主人公は理系の大学院まで進みながらSFオタクが高じて、SFパニック映画専門のビデオ店を経営する中年男。
この主人公とその妻、嫌味な妻の従兄弟、SFオタクの店員を中心に物語が進んでいきます。
SFオタクだけあって、何か行動を起こすときにはいちいちSF映画の名セリフを引用しているのがなんとも。
さらに「こういう現象は○○という映画にあった!あの時の解決法が使える!」と短絡的に考えるのですが、それがことごとく功を奏するのはZ級ならではのご都合主義ですね。
「パニックムービーをたくさん見たから地球の救い方を知っている」というのなら、Z級パニック映画を見てきた私にも地球が救えそうな気がしてきました。
物語中盤ではこの災害の解決策を知っている(と主人公が勝手に思い込んだ)SF作家が登場するのですが、これがどうみても狂人。
精神科の病院に隔離されているのを、主人公たちが看守とかくれんぼをしながら助けだすのですが、客観的には主人公たちのほうがパニックにつけこんで狂人を病院から連れ出す危険人物に見えます。
驚いたのがその後。
苦労して助けだしたSF作家のあっけない死に様。
これはぜひ実際の映像を見ていただきたいです。
私は吹き出してしまいましたよ。
シーンに連続性が無かったり、登場人物が揃いも揃ってマヌケ揃いだったり、放置された山奥に最新鋭の地球監視システムが整っていたり、突っ込みどころ満載です。
また、見ていると時空の歪みが発生して、時間の流れが非常に遅くなり、20分が1時間にも2時間にも感じられるのでコストパフォーマンスもバッチリです。
そのかわり睡魔に襲われることがありますのでお気をつけ下さい。
われこそはというマニアの方におすすめです。
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作品情報
原題:End of the World
制作:2013年、カナダ、Reel One Entertainment
監督:Steven R. Monroe
主演:Greg Grunberg
時間:85分
トレーラー: