ダメ映画レビュー

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デイアフター2020-首都大凍結

氷河大崩壊、異常気象による首都壊滅を凄絶に描くパニックアクション!西暦2020年。地球温暖化で多くの地域が砂漠化。イギリスにも難民が大挙し、国際封鎖を余儀なくされる。深刻化するエネルギー危機の対策として、北極圏の氷原の下に眠る石油掘削計画が進行していた。科学者のトムはグリーンランドで作業を行なうヘイロー社の掘削設備が氷原を破壊し新たな氷河期を招くと警告するが…。

以前に午後ローで放送されたのを録画して見ました。

180分超にも及ぶ作品で、午後ローでは2日に分けて放送されています。

 

実際のところ、かなり冗長な内容でもう少し短い時間にまとめられたのではないかと思ってしまいます。

 

 

 

この映画のみどころ
  • あまりにも早すぎる気温低下と氷雪災害の発生
  • シネテル並み品質の災害パニックシーンの表現
  • これでもかとばかりに押し寄せるトラブルの数々とご都合主義な解決

 

前編は主人公の気象学者が、寒冷化の原因となる石油企業の掘削を止めようとし、それでも止められず巨大災害が発生するまでを、後編では巨大災害の中北極から家族のいるイギリスへ帰ろうとする主人公の奮闘と家族を見舞うトラブルが描かれます。

 

同僚だった研究者が何者かに殺害され、自らも氷河の中に閉じ込められたりと、サスペンスタッチの前編はそれなりに楽しんで見ていたんです。

石油企業の金儲け至上主義の悪徳社長というわかりやすいキャラクターも登場して、主人公との対比もされていました。

クライマックスでは巨大な掘削施設の崩壊と社長の自滅というカタルシスもあります。

 

しかし、実際に寒冷化が発生して氷雪災害が描かれる後編になると、矛盾というか粗というかそういうものが目立ってしまいます。

前編を楽しめただけにその落差にはちょっと……・。

 

前編でINPという移民を専門に取り締まる警察組織が登場し、イギリスにいる外国人を迫害し衝突が発生します。

しかし、後編で災害が発生すると移民たちをあっさり解放。

施設は後編の家族側の舞台となりますが、INPそのものはほぼ登場しません。

移民を迫害していたイギリス人が今度は自分たちが移民になる。

その逆転現象をドラマに全く活かしてないのですよ。

もったいない。

 

災害のシーンは疑問点の連続です。

この災害はグリーンランドの氷河が溶けて大量の淡水が大西洋に流れ込み、その結果南から温かい空気を運んでくるメキシコ湾流が停止することによって、北ヨーロッパの気温が低下していくというもの。

1万年ほど前に起こったヤンガードリアスという亜氷期も同じような原因で発生しています。

 

しかし、その発生があまりにも早いのです。

グリーンランドの掘削施設の崩壊によって氷河が溶け出したその日のうちに急速な低温化が始まっています。

2日と経たないうちに10数メートルの積雪になってしまうなんてあり得なさすぎます。

そもそも、作品世界では温暖化による高温で低緯度帯の国々から北ヨーロッパへの移民が増えているという設定だったのにガバガバです。

 

そのありえない設定を「ありえないwww」と笑い飛ばせるだけの突き抜けた馬鹿さも無いのですよね。

だからこそ見ていてモヤモヤしてしまいます。

このあたりのバランスは難しいですね。

 

さらにパニックシーンの出来は、Z級ディザスターパニックを数多く製作しているシネテルと同レベル。

すごく……チャチです……。

 

そもそも180分という時間が長すぎです。

特に後半は、休むまもなくトラブルが続出しますが、冗長です。

削れろうと思えば半分くらいに削れる作品なのではないでしょうか。

 

時間に余裕のある方ならご覧になっても損はないと思いますが、お忙しい方にはお勧めいたしかねます。

 

この映画を借りる

 

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作品情報

原題:ICE

制作:2011年、イギリス、Power

監督:Nick Copus

主演:Richard Roxburgh

時間:184分

トレーラー: