ディープブルー・ライジング
ディープブルー・ライジング
北極海の海氷に建造された、海洋調査基地“オアシス”。研究に従事する科学者チームは、ある日、突然変異したサメの大群に襲われる。厚い氷も破壊する巨大鮫の猛威により、次々と餌食になってゆくメンバーたち。ついに海氷から分断されたオアシス基地は、水深30メートルの海底に沈んでしまう。外部との通信は絶たれ、酸素も残りわずか。生き残ったデビッドたち4名は、凶暴な海の悪魔に決死の戦いを挑むが…。
27日のシャークネード4に続き、28日にニコ生で最速上映されたこの作品。
実は先日のシャークネード4リリースイベントでチラ見せ上映(1人目が死ぬまで)されていたのです。
冒頭のサメによる襲撃シーンまでしか見られなかったのですが、そのわずかな時間でもダメさは十分に伝わってきました。
ええ、そのとおりダメ要素にあふれる作品でした。
- よくわからない進化をとげたとされるサメ
- 水圧というものが存在しない世界
- あまりにもわかりやすいフラグ
この作品に登場するサメはメガロドンでもホホジロさんでもなく「ニシオンデンザメ」というサメの一種。
英名では「グリーンランドシャーク」と呼ばれているように低海水温域に生息するサメのようです。
作中では「北極海近辺には生息しない」「氷河期に寒さに対応した進化をとげ氷の中で眠っていたが温暖化で氷が止めて出現した」などよくわからないトンデモなことを言われておりますが、北極海では普通に生息しているサメです。
しかし、実のところこの作品のメインはサメではありませんでした。
タイトルの「ライジング」が示すようにメインとなるのは海底に落下して閉じ込められた基地からの脱出劇。
サメはあくまでも落下の原因と脱出を阻む要素としての存在ですので、シャークネードのように積極的にパクっと襲うことはほとんどありません。
あ、やっぱウソ。
序盤は結構パクっと行ってましたね。
見ていて気になったのは水圧の表現。
サメの襲撃でベコベコになった基地が海底へと落下していくのですが、水圧の影響を全く受けないのですよね。
水深30メートルということは3気圧=元々の1気圧+水圧分の3気圧で合計4倍の圧力がかかっているということ。
水圧を考慮していない地上用の建物ですから、自重に耐えられなくなる部分もあるとおもうのですが。
さらに浸水部に入ろうとしてハッチを押し開くシーンがあるのですが、ここでも水圧の影響を全く受けず簡単に開いてしまいます。
普通なら水圧に押し返されてなかなか開けませんよ。
サメ映画では巨大なサメが浅瀬に身を潜めていられる水深という概念のない世界がしばしば描かれますが、この作品の世界では水圧というものがないのでしょう。
登場人物一人ひとりが丁寧にフラグを立てていく点も気になりました。
「あ、この人死ぬな」「あ、これがきっかけでトラブルになるな」と先の展開が非常にわかりやすかったですね。
あまりにもわかりやすいフラグばかりでしたので、それに反した結果となったときの驚きもひとしおでした。
また全体的にテンポがのんびりしすぎているように思えたのですが、前日に見た「シャークネード4」がこれでもかと様々な要素てんこ盛りだったので、そのスピード感に慣れてしまった影響なのでしょう。
こちらのテンポのほうが普通なのです。
割れた氷から水中に落下した主人公の服が次のカットでは全く濡れていなかったり、サメに片足を食いちぎられながらもなんとか逃げて止血処理したあと力尽きた同僚が伏線かと思いきやスルーされたまま終わったり、ダメ映画的な視点から見てもそこそこ楽しめるとは思うのですが、今回はシャークネード4と続けて公開したのがあだになりました。
アレと比べてはいけません。
アンケートもごらんのありさまに。
左:「シャークネード4」のアンケート結果
— さとまる (@damegano) 2016年11月28日
右:「ディープブルー・ライジング」のアンケート結果
結論:シャークネードは神 pic.twitter.com/hLKeLC0kTk
「そういうもの」と割り切って見れば、そのダメさを楽しめる作品だと思いますよ。
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作品情報
原題:Ice Sharks
制作:2016年、アメリカ、Asylum
監督:Emile Edwin Smith
主演:Edward DeRuiter
時間:85分
トレーラー: