惑星戦記ナイデニオン
A.D.2630年、宇宙の主権をめぐりサイコン帝国は連合軍と戦火を交えていた。
57年間にもわたる戦いで死者は120億人にも上り、平和は忘れ去られ、地球は単なる伝説になっていた・・・。
リック・ウォーカーはかつてサイコン最強の戦闘機パイロットであったが、戦争への幻滅から今ではフリーの運び屋に。
ある日、シンシアという謎の女性を秘密裏に行われる和平交渉へ送り届けるよう要請される。
自らを特命を受けた大使と名乗る彼女は、和平交渉を妨害から守るという極秘任務を与えられていた。
航行の途中、リックは複数の戦闘機による奇襲攻撃を受け、辺境の惑星ナイデニオンに墜落。
2人の暗殺を目論む謎の刺客たちから逃れる中、遂にシンシアはリックにミッションの真の目的を打ち明ける・・・。
特に前情報も無く、なんとなく見てみた作品。
意外と作り込まれた映像にびっくりしてしまいました。
そして何よりもびっくりしたのが、監督が15年もかけて作り上げた作品だということ。
しかも出演者はほぼすべて素人だとか。
なるほど、それであの出来なのか。
- SF愛あふれる世界観やヴィジュアル
- 愛はあっても映像センスは無かったストーリー
- ワスカバジ一族に匹敵するホームメード感
この作品を作ったジャック・モイクはドイツ映画界でさまざまな作品の特殊効果で活躍してきた人。
その彼がSF愛あふれるあまり、15年かけて製作したのがこの作品なのです。
実際に映像を見ていると、「スターウォーズ」や「スタートレック」、「ブレードランナー」など様々なSF映画に影響を受けたと思われるシーンが散見されます。
また、特殊効果を長年担当してきた方なので、戦闘機や戦艦も細かいところまで作り込みがされています。
CGも使っているのですが、ミニチュアの特殊撮影によるシーンも多く、この手の映画としては驚くほどデテールまで手を抜かずにこった作りになっているのに驚かされました。
一方で、デテールにこだわるものの、それを使って何をみせたい・何を伝えたいという部分はあまり伝わってきません。
手段と目的が逆転していると言いますか、細かい世界観を作り上げただけで満足してしまっているように思えます。
なので、ストーリーは穴だらけで矛盾点が噴出しています。
「え?どうしてそうなるの?」と気になってしまうことばかり。
なので、矛盾だらけのストーリーには目をつぶり、作り込まれた細かいデテールを楽しむのがこの作品の楽しみ方なのかも知れません。
さて、この作品ですが冒頭で書いたようにジャック・モイク監督が15年かけて一人で作ったもの。
その証拠に
監督:ジャック・モイク
主演:ジャック・モイク
脚本:ジャック・モイク
プロデューサー:ジャック・モイク
音楽:ジャック・モイク
撮影:ジャック・モイク
VEスーパーバイザー:ジャック・モイク
衣装:ジャック・モイク
一人何役こなしているのでしょう?
さらに、ヒロインは自分の奥さんを起用しているとか。
もうこれは出来のいいホームビデオってことでいいのではないでしょうか?
こうやって一人で何役もこなし、家族まで起用しているというとあの作品を連想します。
そう、「恐怖!キノコ男」のワスカバジ一族です。
監督:デイブ・ワスカバジ
エクゼクティブ・プロデューサー:メアリー・ワスカバジ
プロデューサー:デイブ・ワスカバジ
脚本:デイブ・ワスカバジ&メアリー・ワスカバジ
音楽:デイブ・ワスカバジ
主題歌:メアリー・ワスカバジ
撮影:デイブ・ワスカバジ
編集:デイブ・ワスカバジ
主演:デイブ・ワスカバジ
出演:メアリー・ワスカバジ
エドワード・ワスカバジ
ロレッタ・ワスカバジ
違うのは、「恐怖!キノコ男」とは比べものにならないほど映像の出来がいいこと。
まるで「G-SAVIOUR」を見ているようでしたよ。
あれ?褒め言葉になってない?
とにかく、SF映画マニアならば、そこに込められた「愛」や「熱意」を感じ取れる作品だと思います。
だから破綻した脚本には目をつむってぜひご覧になってください。
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作品情報
原題:Nydenion
制作:2010年、ドイツ、Magna Mana FX
監督:Jack Moik
主演:Jack Moik
時間:89分
トレーラー: