ダメ映画レビュー

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ブラックホール 地球吸引

ブラックホールセントルイスの街を破壊してゆく様子を、VFXを駆使してリアルに描いたSFパニック映画。アメリカのセントルイス、ミッド・ウエスタン 量子研究所では、ハウザー博士と助手のシャノン、ケントによってある極秘実験が続けられていた。ある深夜、彼らは偶然の事故により“ブラックホール”を作 り出してしまう。強い磁力で研究所内のものを吸い込みながら巨大化し、やがて街すべてを吸い込む勢いで成長していく…。

たしか今年の9月あたりにヨーロッパのLHCで、極小ブラックホール生成実験が行われたのですが(実際はLHCの故障で失敗延期)、それを先取りしたかのようなブラックホールディザスターパニック作品です。

 

 

が……正直なところ頭悪い映画だなぁという印象しかもてませんでした。

荷粒子実験だかなんだかわからないけど、量子研究所で実験していたらなんだかわからないけど事故が発生してしまい、なんだかわからないけどブラックホールができてしまい、それとは別になんだかわからないけどブラックホールにエネルギーを送り込む、光る謎の物体まで現れてしまうという、まさになんだかわからない作品です。

 

ブラックホールそのものの演出も重力に押しつぶされるというよりも、まさにタイトルどおり吸い込まれるような感じですし、「量子的に連結」しているという光る物体の存在がこれまたわからない。

透明モンスターみたいな扱いをされているのですが、この存在がわけのわからなさに拍車をかけてます。

素直にブラックホールだけにしておけばよかったのに欲張りすぎです。

 

そもそもブラックホールを始末する方法、すなわち光る物体を吸い込ませて巨大重力を発生させて別の次元に送り込むというのが全く意味がわかりませんし、それまでに丸一日近くかかっているのも疑問。

ブラックホールは地球上ではホーキング放射とやらで直ちに蒸発するそうですし、それをSFとして無視したとしても、周辺の空間(セントルイスの一部)を飲み込んで巨大化するのに、そこまでの時間がかかるとは思えませんし、シュバルツシルト半径が増大するだけで、竜巻のように移動することは無いと思うのですが。

吸い込まれてすぐに消えてしまうのもどうなんでしょう。

相対性理論で時間の進みが極度に遅くなるんじゃなかったっけ?違うかな?

そういった底の浅さがミエミエなのがとても残念です。

 

そしてこの手の映画でのお定まりの解決手段、すなわち核攻撃にはもううんざり。

ブラックホールに核撃ちこんだって何の意味も無い、むしろ逆効果なのは誰が見ても分かると思うのですが。

そういった頭の悪さを笑える人でないとかなりキツイ映画だと思います。

特に何でも理論で考えてしまうようなカチカチな人は絶対にダメ。

 

ブラックホールによる被害状況のCGは意外と丁寧に作られてて、この手の映画にしては非常にリアリティがありますし、NSAだか軍だかはっきりしないけど対策部隊のヘリや装備も、チャチなCGを使わずに実物を使って結構リアルなだけに余計に残念になりますね。

 

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配給もとのNU IMAGEって、「クラーケンフィールド」とか「メガスネーク」とかと同じところなんだ。