ロンギヌスの槍を追え!
人類史上最大の謎に挑むアクション・アドベンチャー巨編。パリの建築現場で19世紀の墓地が発見され、考古学者のソフィアと助手のネイサンが現場に呼ばれた。ソフィアはそこで発見された日誌の中に歴史的大発見の手がかりが隠されていることに気づく。それはナポレオンやヒトラーもが手にしたと伝えられる権力と不死を約束するという宝“ロンギヌスの槍”の在りか。しかし暗号を説こうとするソフィアの前に巨大秘密組織が現れ…。
レンタル版ではエピソード1「死海文書の予言」、エピソード2「選ばれし者」と2巻に別れていたのですが、セル版では2枚1組で売られている模様。
ストーリーはいわゆる秘密結社の陰謀によるトンデモ歴史ミステリーという私の大好物にあたるものなのですが、この作品前後編合わせて3時間弱と長丁場な上に、時間配分というか構成がまるでダメ。
ただでさえ長い時間がより長く感じられ途中で眠くなってしまいます。
ナポレオンが隠したというロンギヌスの槍のありかについて、巨大な秘密組織2つが主人公のソフィアを巡って争いあうのですが、前半は何一つ謎が解明されていないのに襲撃に次ぐ襲撃のグダグダな展開。
アクションシーンの連続にはいささか食傷気味になります。
というかある程度泳がせて情報をつかませてから一網打尽にすればいいのに。
後半に入ると一転してスピーディーな超展開の連続。
残り1時間ほどになるまでは、謎が謎を呼びハラハラして面白かったのですが、そこからの展開が急すぎる上に、途中のシーンをカットしているのか、前後がつながらないシークエンスが散見されます。
それでいて要らないシーンをクドクドと見せ続ける間の悪さ。
クライマックスも駆け足気味になってしまいました。
それならばもう少し前半の展開を早くすれば良かったのにと思ってしまいます。
極めつけはラスト。
解毒剤のないKGB御用達の毒を打たれた主人公の娘が、なんの説明もなく完全回復しています。
エリクサーでも飲んだのでしょうか?
ストーリー自体は悪くないのですからラストをなんとかして、90~120分程度にまとめればもっとテンポよく見られたかもしれません。
主人公の脇が甘かったり、秘密組織の言動が不一致だったり、そういう演出上の難点も目に付きました。
ただ、この作品、原語はフランス語なのですが、日本語以外は英語の吹き替えなんですよね。
そのため囁いているシーンでも声優が大声で話しているので、シーンの雰囲気が台無しということも。
それを差し引いても、「巨大で危険な秘密組織」の話を公衆の面前でくっちゃべったり、死に際に託された秘密を他人の前でペラペラ話したり、「誰も信じられない」と言いながら部外者を交えて今後の相談をしたり、などなど襲われても当たり前のガードの緩さにはうんざり。
秘密組織も秘密組織。
娘を人質にしてロンギヌスの槍と交換という取引をしたかと思ったら探索途中でノコノコ現れて邪魔をした上に、見つけられないじゃないかとイラつくとかすアホぞろい。
パリの街中で拳銃もって歩き回っても、銃声がしても、誰一人として驚かないとかどんなスラムですか。
そういったリアリティのない演出も観ていてイラっとさせられました。
テーマがドンピシャの好物だけに本当にもったいない。
それならば「ツタンカーメンの秘宝」なみにぶっ飛んでしまったほうがいいのになぁ。
ああ、そういや物語の鍵を握ると思われた、現在まで生き続けているナポレオン時代の将軍も、結局なんら触れることなく投げっぱなしジャーマンで終わっていましたっけ。
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