幻の湖
橋本忍原作・脚本・監督で贈る東宝50周年記念大作。何者かに愛犬を殺された女の復讐劇を戦国時代、そして宇宙空間まで展開して描いた、奇想天外なSFサスペンス。出演は南條玲子、隆大介、星野知子ほか。
「死霊の盆踊り」と並び称されるダメ映画の極北として有名な作品。
ようやくのことにすべてを見終わりました。
いや、これは本当にぐったりします。
- なにもかもが理解の範疇を軽々と越えていく超展開
- どの出演者よりも名演している犬のシロ
- 2時間44分が10倍以上にも感じる演出術
長い。
とにかく長い。
それが第一印象でした。
ただ長いだけでなく展開にメリハリがなく、同じようなシーンがひたすら続いたかと思うと、次のシーンでは全く違う場所・時間に飛んでいるので一貫性に欠け、見ていて混乱してしまいます。
主人公の言動もエキセントリックすぎて理解に苦しみます。
どうみてもペットロスで精神を病んでしまっている人にしか思えません。
これが本当に名脚本家のシナリオなのでしょうか?
これ一作で今までの偉業をすべてチャラに出来るだけのインパクトがあります。
その極めつけと感じたのが物語中盤のマラソンシーン。
愛犬を殺した犯人が自分と同じランナーであることを知った主人公が、なぜか執拗にその後ろを走ってついていくシーン。
10分にわたって二人が走っているシーンが延々と流れます。
しかし映像に変化がなくテンポも悪いので映像のダイナミズムに欠け、10分が30分にも1時間にも感じてしまいました。
アングルも意味不明なものが多く「映像の原則」の悪例にうってつけのように思えます。
しかし、物語が後半になるとあまりの超展開に一周……どころか20周くらい回ってものすごく面白くなってしまうんですよね。
どうしたらそういう発想になるのか凡人にはまったく想像がつかない展開で、「これだよ!待っていたのはこれだよ!」と思わず快哉をあげてしまいました。
そしてクライマックス。
愛犬の仇をとるためのマラソンデスマッチからの刺殺、その血しぶきに合わせてのロケット発射という怒涛の展開は、聞いてはいたものの実際に観て改めて衝撃を受けましたね。
わけがわからないよ
見ている間はツッコミポイントをいろいろと書き出していたのですが、あまりの多さにひとつひとつ列挙することは諦めました。
なによりもやはりこの作品は実際に見ていただかないと、その凄さ面白さはご理解いただけないと思います。
みなさん、ぜひ腰を据えてご覧になってください。
そしてぐったりした思いを語り合いましょう。
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作品情報
制作:1982年
監督:橋本忍
主演:南條玲子
時間:164分
トレーラー: