アルマゲドン2007
小惑星激突の衝撃で月面に生じた巨大な亀裂。地球には隕石が降り注ぎ、異常気象でハリケーンが発生。そして月が崩壊した時、人類の歴史も終わる…。地球最大の危機に“月溶接作戦”に挑む男たちの姿を描いたSFパニック大作!
これぞアルバトロス!というダメ映画です。
中途半端さも、「俺達ダメやってますよ~」というおもねりも皆無。
ここまでてらいのないストレートなダメ映画は久しぶりだったので、見ていて本当に楽しかったですね。
ただ、残念なことに私は本家のアルマゲドンを見ていないので、どの程度までパk…もといオマージュがちりばめられているかはわかりませんでした。
あれも噂では「名作に見せかけたダメ映画」らしいですね。
月が崩壊を始めて、その欠片が隕石になって落ちてくるという設定には、思わず「♪SEE~THE SKY~」「月が地球にキスをする」とか歌いたくなってしまいました。
その隕石なのですがこれがすごい!
まるで発泡スチロールのような質感ののっぺりとしたCGです。
というか隕石に限らず、飛行機も、シャトルも、人工衛星も、ビルの崩壊だって全部CGです。
そのCGが揃いも揃ってのっぺりとしてます。
リアリティなんてものは皆無です。
だいたい巨大隕石が衝突して被害がビル2棟倒壊という段階で、どうかしていると思いますよ。(アメリカ国内の話。メキシコシティは壊滅)
酷い(もちろんほめ言葉ですよ)のはシャトルの内部。
あからさまなセットです。隠そうとすらしてません。
低予算にもほどがあります。
宇宙でのCGシーンはまるでG-SAVIOURの劣化版を見せられているようでした。
さらにすごいのがヒロインの物理学者。
なんと現在の月生成の定説であるジャイアントインパクト説を全否定です。
「月は鉄で出来てる!」というどうみてもトンデモな説を振りかざします。
そんなヒロインに協力するのがビル解体のスペシャリストのオッサンです。
なぜ彼が協力するのかというと、月に生じた亀裂を爆破してそれを埋めるという計画のためらしいのですが、たとえ亀裂が埋まったとしても失われた質量は元に戻らないし、爆発(当然ながら核兵器を使います)のエネルギーで月の軌道などに影響が出ると、潮汐力など地球にも影響が及ぶのではないでしょうか。
そこのところ理系の素養に欠けるのでイマイチわかりません。
しかもその月の亀裂。
地球から観測すると日本がすっぽり入りそうな幅と深さがあるのですが、実際に近づくと幅はシャトルが通り抜けられる程度、深さも深い谷程度と、一気にスケールダウンします。
結局のところ月は鉄であることが分かったので(Σ(゚Д゚;エーッ!)
核兵器による爆破作戦は中止。
強力電磁力発生器で破片を寄せ集めて月を再生成することになったのですが、その発生器が秀逸。
核兵器+シャトルの予備部品=電磁力発生器に転用可能ってどんだけ都合よくできてんですかwww
でも一番の魅力はこのスペースシャトル。
外観こそチャチなCGで内装はやっつけセットと散々なできですが、その性能とパイロットがすごすぎます。
巨大ハリケーンの中G-SAVIOURのシャトル発進シーンのごとく、震動に耐えながら発進。
月軌道へ向かうと核パルスエンジンを使い時速32,000キロ以上のスピードで、どうみてもシャトルが通り抜けられないほどのデブリの海に突っ込んでも切り抜けるスーパテク。
昔懐かしいグラディウスを思い出しました。
重力制御装置でもついているのか宇宙でも無重量状態も発生せず、乗組員(といっても3人だけですが)は普通に歩き回ります。
月面でもその性能はフルに発揮され、亀裂が崩壊し瓦礫がなだれ落ちても、バレルロールで切り抜けるスーパーテクを見せ付けます。
無事作戦が成功して強力電磁力が発生した後も、磁気嵐の中磁力発生装置に引き寄せられもせず平気で飛行して帰還します。
なんという素晴らしいシャトルなんでしょう。
まさにスーパーシャトル。
そしてもちろんラストは唐突なキスシーン。
い、いつのまに?!
とまぁなんとも素晴らしい映画です(ダメ的な意味で)。
よくもこんなもの思いついたもんだ。
ありえないトンデモをトンデモとして楽しめる方にはぜひともお勧めです。
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