ダメ映画レビュー

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ウォーター・パニック in L.A.

 

『ボム・ザ・システム』の製作を担当したベン・レキーが監督・脚本を手掛けたパニックサスペンス。何者かによってダムの中に散布された生物兵器により、パニック状態に陥ったL.A.。人々は次第に狂気を露にしていき、ひとつの恐ろしい事件を引き起こす。

生命を維持するのに最も必要な水が手に入らなくなったら、人はどのような行動に出るのか?というテーマを投げ掛ける社会派のパニックムービー……だと思うのですが、どうにも散漫でダラダラとしている印象を受けるんですよね。

特定の主人公が活躍するのではなく、複数の人々に焦点を合わせて並列的に状況を見せる群像劇なのですが、ディテールは見えても全体が見えてこず、非常に狭い世界の中でなにかごちゃごちゃやっているなという感じが否めません。

 

たしかに些細なことで暴力的になったり、規律を犯しても自分の家族を優遇しようとしたり、アラブ人というだけでヘイトクライムに遭ったりと、危機に面した状況で人々の隠されていた嫌な面があぶりだされ、観ていて胃が痛くなるような閉塞感はあるのですが、どこか現実味に欠けてしまっています。

もう少し政府の対応だとか、テロリストの思惑だとか、そういった一段上の広い視点も欲しかったですね。

 

テロリストもラストで何の脈略もなく唐突に逮捕されるのですが、それならそれで、何か伏線でも張っておけよと思ってしまいます。

まぁ80分弱という短い尺ではこれが精一杯だったのでしょうが、なんか中途半端でもったいない作品でしたね。

 

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