ダメ映画レビュー

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メタルマン

天才発明家が生み出した戦闘用パワードマスクで悪を駆逐するヒーロー“メタルマン”の活躍を描くSFアクション。装着すると超人的な戦闘能力が身に付くというアイテムを巡り巨大な陰謀がうごめき始め、開発者である科学者・ピーターが暗殺されてしまう。

DVDジャケットはもちろんのこと、

原題もそのまま「METAL MAN」というところからおわかりになるように、

「アイアンマン」のモロパクリインスパイヤ作品です。

 

今まで幾多のダメ映画を見てきたけれども、その中でも1,2を争う作品になりそうなダメ中のダメ映画としか言いようがありません。

私は「アイアンマン」の方は見ていないので比較することは出来ないのですが、比較という行為そのものがおこがましく感じてしまいます。

再生開始3分も経たずに85%近くの方は停止ボタンを押してしまうのではないでしょうか?

 

そもそもこの作品、ちゃんとした撮影器具ではなくハンディカムか何かで撮影しているらしく、画質が非常に粗いですし、全体を通して一定ではありません。

 

また録音も集音マイクなど使わずにカメラマイクのみを使っているらしく、風の音や車が行き交う音、鳥の鳴き声など、シーンに関係ないどころかそぐわないような雑音をしっかり拾ってしまっています。

カットが切り替わるたび、セリフが止まるたびに、サーッというホワイトノイズが入ることもしばしばで、それがだんだん気になって気になってしょうがなくなってしまいます。

 

セットなども「チャチ」以外言いようのない貧弱さで、何から何まで素人くささが漂います。

中盤に出てくる研究室にいたっては、60年代の電気がチカチカするとパンチシートが打ち出される様な、時代錯誤も甚だしいデザインで観ているものの度肝を抜いてくれます。

 

ハード面がこんなていたらくですから、脚本、演出、演技などソフト面は言うに及びません。

およそ高校の映研の自主制作映画でも、ここまで酷く作るのは難しいのではないでしょうか?

見所であるはずのメタルマンの格闘シーンは、殺陣がグダグダで子供だましの特撮以下。

 

脚本も脚本でシーンの前後が全くつながってなかったり、展開が予想のはるか斜め上を行ったり、最初から最後まで穴だらけ矛盾だらけ破綻だらけなんですよね。

もうツッコミどころが多すぎて、いちいちツッコムのもかったるくなってきます。

それでいて物語の本質となるべきはずの、なぜ博士がメタルマンを開発したのか、なぜ共同研究者だった大富豪がそれを奪おうとするのか、そしてそれを使って何をするつもりなのか。

そういった部分はほとんど語られません。

本当に観ていてわけがわからなくなります。

 

演技だって学芸会以下のレベル。

ちょっとやそっとじゃここまで酷い作品はつくれないと思うのですが、製作者はわざとやっているのでしょうか?

(そういった作意はあまり見えないのでガチでつくっているのだとは思いますが)

 

そうそう貶してばかりでもなんなので「これは」という見所も書いておきましょう。

この作品最大の見せ場となるのがどこぞの牧場でのラストバトル。

これは必見です。

ダメ映画ファン(ただしZ級に限る)ならば絶対に見るべきです。

腹筋が360°よじれそうな超絶シュールな映像に、誰しもが予期し得ない超展開が待っています。

 

え?それで終わり?

何の伏線も説明もなく?!

 

いやぁ、ある意味で最強の映画だと思います。

これ観た後だと「ジュラシック・ジョーズ」がかわいく見えてきますよ。

 

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