鳥
アルフレッド・ヒッチコックの名作ホラー『鳥』をモチーフにしたパニックアクション。獣医・アレックスは郊外の農村で続発する家畜変死事件の犯人がカラスであることを突き止める。しかも、そのカラスたちはある新薬の実験台になっていたことが分かり…。
ヒッチコックの「鳥」のオマージュ作品らしいのですが、たしかにオマージュと言えるかもしれません。
合成技術的には。
このご時世にヒッチコックの「鳥」並の合成映像を見せられても、こちらが困ってしまいます。
そもそもこの作品、襲ってくるカラス以上に主人公の女性獣医のDQNっぷりが恐ろしいです。
なんの科学的裏付けもなく「カラスが人を襲う!」と思い込みで行動。
動物行動学の研究所や研究者の自宅、裁判所に役所まで押しかけて非常識な行動をとり、注意されると「妊婦に乱暴しないで!」と喚き散らす。
勝手に人の家を漁って怒られると、「あんたがカラスを凶暴にしたんでしょ!説明するまで帰りません!」などと、どこぞの政党のような逆ギレっぷり。
旦那や友人に「妊娠中で神経過敏になっているだけ」といわれても、「誰もわかってくれない」と中二病みたいなことを言い始めます。
そんな主人公の言動には、見ていてイライラがどんどんたまってきます。
逆にカラスに対して「いいぞもっとやれ」と思うくらい。
たまさかカラスの研究を悪用した「悪いヤツ」がいたからいいものの、主人公の言動は医療刑務所に入院させられてもおかしくないほどです。
なので、モンスターパニックなのですが、サイコスリラー的な色合いが非常に強いです。
「狂っているのはカラスなのか、自分なのか」と追い詰められますが、主人公の言動に整合性がないため自業自得のように思えて、まったくストーリーにのめり込め無いという悪循環。
90分の長さが3時間にも4時間にも感じられるくらい見ていて苦痛でした。
終わり方もあっけなく、それで終わり?と目を疑いたくなります。
なんというか煽るだけ煽っておきながらカタルシスなく終る感じです。
そもそもラストシーンでは100万羽単位のカラスが集まるのですが、いくら繁殖力が強いとはいえ40羽のカラスがそこまで増えるというのは…。
それからこれは国内配給元のアルバトロスの問題かもしれませんが、日本語字幕がどうも中途半端に思えます。
セリフは長々としゃべっているにも関わらず、字幕は少しだけ。
また字幕に乗らない会話もあり、どうも字幕だけでは話の筋が釈然としない部分が頻出します。
これが英語ならまだ耳で聞いて内容を補完できるのですが、ドイツ語だとそれも無理。
なので日本語吹き替えで見た方がまだ理解できるのかもしれません。
それにしても、主役の女性をどこかで見たなぁと思ったら、「ソーラー・ストライク サード・インパクト」でも主役だった人じゃないですか。
「マナツの冒険」にも出ていましたが、ドイツでは有名な女優さんなのかな?
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